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ワダツミセブン3話 あとがき

本なら巻末の「解説」。
雑誌なら「編集後記」。
映画なら・・・・・・なんて言うんでしょうね。「あとがき」でいいでしょうか。

ワダツミセブン3話、無事完成し3日間の上映を終えました。
今回は1・2話と打って変わって、多少シリアスで主張の強い、ワダツミ以前の私のテイストに仕上がったかと思います。
3話は上映を経て思うところが多かった作品でした。
というのも、4/29.30の平上映から5/8の勿来上映までの間に、冒頭シーンを再編集するという前代未聞の禁断の荒業を繰り出すという事態に。
通常、一度発表したものを、お客さんのレスポンスを受けて変更・修正するということはありません。

そのへんも含めつらつらと記します。
これは長くなりそうだ。
本編の内容にも触れますので、まだ3話をご覧になっていない方はこの先進まない方がよいかもしれません。


■全方位を敵にまわす?!
1・2話は、地元の象徴的なモチーフを入れ込んだ地元ロケ映画、程度でした。
別にいわきが舞台でなくても通じるといえば通じる、ご当地感は弱い作品。
が、3話はリアルタイムないわきの、東日本大震災後の薄磯を舞台としました。
完全に「いわきならでは」の作品になり、ご覧いただいたお客様(ほぼいわき市民)の感情移入具合も相当高かったのではないかと思います。いえ、「思います」でなくて、実際高かった。

脚本執筆段階からそうでしたが、実際に編集を終え上映前に見直すに、これはどこからクレームが入ってもおかしくないな、というちょっとした覚悟の上での上映となりました。
具体的には、実際に甚大な被害を被った被災者。
そしてそれを「頑張ろう!」「絆!」と励ます、各分野の表現者・創作者・イベンター。
オマケに役所・自治体。
つまりは、全方位。

今回のヒーローと鬼の対立の構図は、盲目的で傲慢な善意の表現者(主人公・ひばり)と、素直にそれを受け入れられない被災者(鬼・エリカ)、です。
表現者・ひばり側は、市外県外からやってくる「いい人たち」でもあり、市内でも率先して声高に復興を叫ぶ人たちでもあります。

これはいわきぼうけん映画祭企画作品「R」製作当時から思っていたことですが、いわき市民の立ち位置って絶妙なんですよね。
市外・県外から見れば、いわき市民は総ぐるみで「被災者」として憐憫の目で見られますが、いわき市内でも被害の大小で「応援する側」「される側」という対立(というほどケンカしてるワケでないのですが、潜在意識として)が存在します。

人が誰かを励ましたい、慰めたい、応援したい、と思うとき、その視線は必ず相手をフカンしています。下に見ています。
それが悪いわけではありません。ノーダメージの人間が、ダメージ甚大の人間と相対したときにそうなるのは仕方ない。
そしてまた、それを素直に受け入れられる人もいれば、どこか冷ややかに見てしまう方もいるでしょう。

そんな多様な立ち位置の方々を描き、それこそお客さんによって180度違った見方をされ、どこから矢が飛んでくるかとびくびくしていましたが、概ね良好な感想をいただけました。
が、一つだけ(実際は隠れているだけで一つではないと思いますが)痛烈な感想をいただきました。後述します。


■最強のメッセージはラブレターとか
さて、主人公・ひばりは、自らが「いいことしてる」と誇っていた合唱を、鬼・エリカに全否定され声を失います。
ご年配の方にシルバーシートを譲ろうとしたら、「いらんわそんなもん!」とブチ切れで拒絶されるようなものです。
もう何がなんだかわからない自己喪失。
が、鬼・エリカの実情を知り、それまで闇雲になんとなくフワっとした対象へ歌っていた合唱を、エリカの為に真に心を込めて歌います。
そしてエリカもひばりの熱意に心打たれ、彼女を受け入れます。

たまに小説や映画の冒頭に、亡くなった方・尊敬する方などへ向けた「○○に捧ぐ」といった巻頭言を見かけます。
「いやいや大衆に発表する映画やら小説で、そんな個人的な一節入れてるんじゃねーよ、誰向けに公開してるんだよ」と思っていた時期もありました。
しかし、真に誰かの為を思い、何かを伝えたいとき、やはり一番心に響くのは「その人の為だけ」につくれらたモノだと思うのです。
それに感化されるお客さんは、自身の境遇を重ね、そのおこぼれにあずかっているだけで。
ですので、片思いの異性に送るラブレターは最強の文学だと思いますし、恋人の為に歌うオリジナルのラブソングは最強の音楽で、見栄えの悪いまずい手作りクッキーにはそのへんの高級ブランドだって太刀打ちできません。


■結局この映画は誰の為に
私の立ち位置は、「いわき市民」でありながら、「震災ダメージ極小」であり、映画という「表現者」の側です。
今回描きたかったのは、前述の通り「表現者の傲慢」でもあり、「被災者への励まし」でもあります。

4/29,30の上映会で、冒頭のシーンについて「不快」であるとの感想をいただき、次の上映会までの再編集しました。
大衆に向けて発表したものを、たかが一つの意見に振り回されて変更するのかよ、クレーム来るの覚悟の上じゃなかったのかよチキンが、と思われるのも仕方なし。
しかし、ここは何と言われようが修正せずにはいられませんでした。

3話の舞台となる薄磯地区は、津波で被害をこうむった沿岸の町です。
冒頭シーンは、そこへ「肝試し特集」と称し土足で踏み込むマスコミ。
このシーンで描きたかったのは「被災地をネタにするマスコミの横暴」をやや誇張したものでした。

頂いた感想、そのシーンが「不快」「嫌」。
実際に人が亡くなった場所で、実際に自分が住んでいる場所を、そのような扱いをされたことに不快・嫌。

青天の霹靂とはこのことか。
3話製作のこの半年、いえ震災後のこの5年の足元を掬われました。

何やってんだよ、結局まだ傷が癒えてない人を励ましたいとかなんとか言って、一番その対象が見えてなかったのは俺じゃねえかよ。
何見事に「表現者の傲慢」を自分で体現しちゃってるんだよ、俺主人公ひばりのまんまだよ。
「泣いた!」「感動した!」とかポジなアンケート見て浮かれてる場合じゃねーよ。

と猛省しました。
これは「人によってそういう見方もあるよね」とかそんなレベルの話ではありません。


不快になられた方々に深くお詫び申し上げるとともに、言いづらいであろう貴重な感想をいただき、また私の今後の生き方・映画製作へのスタンスにも関わる大変重大な気付きのきっかけを頂き、本当にありがとうございます。


■4話に向けて
このようにな経緯で、上映後に再編集し、改めて完成となりました。
上映会にご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
キャスト・スタッフ、およびロケ地提供・差し入れ・広報でご協力くださった皆様、ありがとうございました。


さて、書きながらまた凹んでますが、次作4話は脚本制作に入っており、夏には元気にクランクイン予定です。
「市民参加型」映画制作企画のワダツミセブン。
是非次回もエキストラやスタッフ、はたまたメインキャストなどでご協力いただき、ともに映画制作の面白さを共有できれば大変嬉しいです!

・3話DVD:5月末から、インターネットショップ(yahoo)「ブンズ色の店」、アリオス1階・パークサイドショップ、ポレポレいわき、などで発売。
・3話youtube公開:4話完成時点(今年末あたり?)予定
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近況

いわき市『非』公認のご当地ヒーロー映画『磐城七浜 ワダツミセブン』第4話制作開始。(2017年1月)

プロフィール

KAZAMI/羽賀慎一郎

Author:KAZAMI/羽賀慎一郎
風見映像スタジオ代表。
いわき市非公認ご当地ヒーロー映画『磐城七浜ワダツミセブン』監督・脚本・編集・プロデューサー。

福島いわきを拠点とし、市民参加型映画製作をしています。
人の生理に訴えかけられるような作品づくりが目標です。作品を通して、観て頂いた方々に、正のものであれ負のものであれ、何らかのEMOTIONを喚起できれば幸いです。

■いわき市非公認ヒーロー映画「磐城七浜ワダツミセブン」過去作品動画まとめページは<こちら>
ワダツミセブン公式サイトは<こちら>

■第2回いわきぼうけん映画祭実行委員会製作作品『R』、2013年2月完成。
まとめページは<こちら>

■2011年製作 自主映画『白薔薇が紅に染まるまで』まとめページは<こちら>
動画まとめページは<こちら>

■風見映像スタジオは『いわきぼうけん映画祭』を熱烈に応援しています。
<いわきぼうけん映画祭公式サイト>

■香盤表・ロケスケのテンプレのダウンロードは<こちら>

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